こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。

製造業や物流業界で関心が高まっているジャストインタイム物流。

導入を検討中という企業も増えています。

このコラムでは、ジャストインタイム物流の基本的な考え方から実際の導入効果、さらに運用時の注意点まで幅広くご紹介します。

物流効率化をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

ジャストインタイム物流とは?

ジャストインタイム物流とは、「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ届ける」配送システムを指します。

ジャストインタイム物流は、トヨタ自動車が確立したトヨタ生産方式の考え方を物流分野に応用した手法で、英語では「Just in Time Delivery」と呼ばれています。

特徴は、在庫を極力持たずにタイミングよく商品を供給すること。

従来の大量一括配送とは異なり、少量を頻繁に運ぶ「多頻度小口配送」が基本で、在庫負担を軽減します。

製造現場では部品や原材料の調達に、小売店舗では商品補充に活用され、保管場所の有効利用や資金効率の改善に役立っています。

また、生産現場では「かんばん方式」と呼ばれる指示システムを利用し、次工程からの要求に応じて必要な分だけを生産・配送する仕組みが構築されています。

これにより、作業現場の「ムダ・ムラ・ムリ」を排除し、効率的な物流運営を実現しているのです。

小口配送のメリットや注意点については、「小口配送とは?メリットやデメリットを知ろう!」で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

ジャストインタイム物流のメリットは?

近年、導入企業が増えているジャストインタイム物流。

どのようなメリットがあるのかチェックしてみましょう。

ジャストインタイム物流導入のメリット

ジャストインタイム物流を導入すると、企業には次のようなメリットがあります。

在庫コストと管理費用の削減

最大の利点は在庫関連費用の大幅な削減です。

最小限の在庫で運営するため、保管コストや管理負担を抑えられ、商品の劣化や陳腐化によるロスも防げます。

在庫にかかっていた資金を別の投資に回せば、経営効率の向上にもつながります。

保管スペースの削減と活用

在庫を減らすことで保管スペースに余裕が生まれます。

特に地価や賃料が高い都市部では、空いたスペースを売り場拡大や他用途に転用できます。

物流状況の見える化

配送回数が増えることで商品の動きを把握しやすくなり、需要変動への即応力が高まります。

これにより、問題の早期発見や改善も進めやすくなります。

品質向上と顧客満足度アップ

商品回転率が高まるため、常に新鮮な商品を顧客に提供でき、品質の維持や顧客満足度向上にもつながります。

ジャストインタイム物流にはデメリットや課題も

物流

一方で、ジャストインタイム物流には注意すべき課題もあります。

在庫切れのリスク

在庫を最小限に抑えるため、配送遅延や急な需要増加があるとすぐに品切れになってしまう恐れがあります。

自然災害や交通事故など、想定外の事態で供給ライン全体が止まる可能性もゼロではありません。

このリスクに備えるには、安全在庫の確保、BCP(事業継続計画)の策定、複数ルートの確保といった対策が必要です。

BCPについては「物流のBCP対策を知ろう!物流BCPの必要性や考えるべきポイントも」でもお話していますので、あわせてご覧ください。

配送コストの増加

少量配送が中心となるため、トラックの積載効率が下がり、運送コストが上昇する傾向にあります。

さらに、ドライバー不足の中で指定時間配送の依頼が多くなると待機時間が発生し、コスト増を招くケースも。

こうした課題には「クロスドック」「共同配送」「ミルクラン方式」といった効率化の仕組みが有効です。

クロスドック

物流センターでの一時保管を省略し、到着した商品をすぐに仕分け・積み替えることで在庫回転率を高め、配送時間を短縮します。

共同配送

複数の企業が協力し合い、積載率を向上させて配送効率化とコスト削減を図ります。

共同配送については、こちらのコラムでもご紹介しています。

共同配送とは?メリット・デメリット、注意点などを解説

ミルクラン方式

1台のトラックで複数拠点を巡回し集荷することで、積載効率を高め、全体の輸送効率を改善します。

サプライヤーへの負担増

厳しい納期設定によって、部品メーカーや運送会社に大きな負荷を与える場合があります。

結果として取引関係の悪化や、サプライヤーの経営に支障をきたす可能性もあります。

この問題には、契約条件の見直し、長期的なパートナーシップの構築、情報共有システムの導入といった取り組みが効果的です。

環境負荷の問題

配送回数が増えることでCO2排出量が増加し、環境への影響が懸念されます。

ただし、先述の「クロスドック」「共同配送」「ミルクラン方式」などの配送方法を組み合わせることで、この課題にも対応することができます。

ジャストインタイム物流で効率的な配送システムを構築しよう

ジャストインタイム物流は「必要なものを、必要な時に、必要な量だけ配送する」という方法。

在庫費用の削減や保管スペースの有効活用が可能になります。

一方で、品切れリスクや配送コスト増といった課題もあるため、クロスドックやミルクラン方式などの効率化技術と組み合わせることが成功の鍵となります。

状況に応じて導入することで、競争力ある効率的な配送システムを構築して、持続的な事業発展につなげることができるでしょう。

キチナングループでは、物流アウトソーシングサービスを提供しています。

物流のプロがお客様の状況をヒアリングしてニーズに対応する最適な物流アウトソーシングのご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

末次 正人

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長

1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。