こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの三村です。
2024年問題が注目されている日本の物流。
さらに、物流業界に大きな影響を与える「物流関連2法」の改正も行われました。
今回のコラムでは、改正の背景やポイント、そして今後の物流業界への影響について詳しく解説します。
物流会社のみならず、荷主、そして消費者もぜひ知っておきたい情報です。
物流関連2法改正の背景
ここでお伝えする物流関連2法とは、以下の2つの法律のことです。
- 「物流総合効率化法」(物資の流通の効率化に関する法律)
- 「貨物自動車運送事業法」
2024年4月26日に参議院本会議で改正案が可決され、同年5月15日に改正法が公布されました。
文字通り、物流事業者や荷主に対し、物流の効率化を目指すための取り組みが定められています。
物流関連2法が改正された背景には、2024年問題をはじめとする日本の物流業界の課題や問題がありました。
トラックドライバー不足による物流停滞の解消を図るため、業務効率化や体制の改善、現行の商習慣の是正(ぜせい)、運賃や人件費などの確保を図る取り組みを促進します。
なお、物流業界の課題に対応するため、物流事業者だけでなく、荷主企業や消費者も含めた社会全体での協力が必要とされています。
2024年問題についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてご覧ください。
物流業界における2024年問題とは?働き方への影響や課題も解説
物流関連2法改正のポイント
物流関連2法改正でどのような定めができたのか、ポイントを解説します。
物流総合効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)の改正ポイント
こちらはまずは、名称が変更になっています。
もとは「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」でした。
物流事業者と荷主を対象に、物流効率化に対する以下の取り組みを定めています。
①物流効率化への取り組み努力義務
荷主(商品を送る側と受け取る側)と物流事業者(トラック、鉄道、船舶、航空機、倉庫など)に対して、物流効率化に取り組む努力義務が課されました。
具体的な取り組みの例としては以下のようなものがあります。
- 予約システム導入などによるドライバーの待機時間削減
- パレットの規格統一による荷役作業の効率化
- 共同配送や配送先集約による輸送効率の向上
②大規模事業者への取り組み義務
一定規模以上の荷主と物流事業者に対しては、中長期計画の作成や定期報告などを義務付けました。
- 中長期計画の作成
- 定期報告の実施
- 物流統括管理者の選任(荷主のみ)
これらの義務を果たさない場合、行政からの勧告や改善命令の対象となる可能性があります。
貨物自動車運送事業法の改正ポイント
貨物自動車運送事業法は、主にトラック運送業の適正な運営を定めた法律です。
①取引の透明化や適正化に対する取り組み
適正な取引が行われるよう、元請事業者に対する運送体制管理簿の作成や、契約時の契約書面の交付が義務付けられました。
管理簿を作成することで勤務実態が明確になり、契約書面には役務の内容や附帯業務料・燃料サーチャージなども含む対価などが記載されます。
契約書面の交付は、下請関係に入る運送事業者にも求められます。
②多重下請け構造の適正化
運送業務を何段階も下請けに出すことで生じる責任の不明確化、料金の中間搾取といった問題を防ぐため、複数の下請けを減らす努力義務や、一定規模以上の事業者へは管理規定の作成と管理者の選任の義務付けが定められました。
③軽トラック事業者への規制強化
小型の軽トラックを使用する事業者に対しても、安全性向上のための規制が導入されました。
管理者の選任と、必要な講習受講、事故の際には国土交通省への事故報告が義務に。
また、国土交通省による公表対象として、軽トラック事業者の事故報告や安全確保命令などが追加されました。
物流関連2法改正で今後の物流業界はどうなる?

この物流関連2法改正を受けて、物流業界では効率化の取り組みが加速していくとみられています。
例えば、デジタル技術やツールを取り入れた省人化や効率化、輸送方法をトラックから鉄道・船舶などに切り替えるモーダルシフトなどもその一端です。
また、荷主と物流事業者が連携して取り組むことも重要視されています。
情報共有の仕組みづくりや、複数の会社による共同配送なども増えていくでしょう。
さらに、消費者の意識変容も求められ、即日配送にこだわらない、複数の受け取り方法、環境に配慮した配送方法を選ぶといった傾向が強まると予想されます。
物流関連2法改正で物流の効率化が加速!
2024年に改正が可決・交付された物流関連2法とは、「物流総合効率化法(物資の流通の効率化に関する法律)」と「貨物自動車運送事業法」の2つのことです。
この法改正は、2024年問題をはじめとする物流業界が直面する課題に対応するため、物流の効率化や適正取引のために定められました。
物流事業者や荷主に、物流効率化のための取り組みを求め、一定規模以上の企業に対しては中長期計画の作成や定期報告を義務付け。
トラック事業者も適正・安全に取引・運営ができるよう、契約書面の交付の義務化や多重下請け構造改善の取り組み、安全性向上のための取り組みなどが求められます。
今回の物流関連2法改正を受けて、物流業界では効率化の取り組みがさらに加速していくでしょう。
そしてそれは、運送事業者と荷主が連携をとって取り組むのはもちろん、消費者を含めた社会全体の理解と協力が必要不可欠です。
キチナングループでは物流アウトソーシングサービスを提供しています。
物流のプロが、貨物輸送から出荷代行まで、トータルロジスティクスサービスを提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

三村 和弘
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 課長
2021年中途入社。キチナンロジスティクス株式会社営業部。趣味はゴルフと磯釣りで、休日は妻とゴルフの練習に行ったり、職場仲間と打ちにいくこともしばしば。特技は早起きです。好きな言葉は「誠心誠意」。