こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの三村です。
引火や爆発の危険が高い「危険物」の取り扱いは消防法で厳しくルールが決まっていて、輸送についても同様です。

今回は、危険物の輸送の中でも、「少量危険物」の輸送を中心にご紹介します。
「危険物」そして「少量危険物」の定義と、運送時の注意点、信頼できる運送会社の選び方などを解説していきます。

危険物とは

危険物とは、引火や爆発のリスクがあり、それによる火災発生や火災拡大の危険が高い物質のことです。
消防法では、物質の特性ごとに6つに分類し、具体的な物質を危険物として指定しています。

 【消防法で定める危険物】

  • 第1類:酸化性固体(塩素酸塩類、亜塩素酸塩類 ほか)
  • 第2類:可燃性固体(硫化りん、硫黄 ほか)
  • 第3類:自然発火性物質及び禁水性物質(カリウム、ナトリウム ほか)
  • 第4類:引火性液体(特殊引火物、第一石油類 ほか)
  • 第5類:自己反応性物質(有機過酸化物、硝酸エステル類 ほか)
  • 第6類:酸化性液体(過塩素酸、過酸化水素 ほか)

危険物は私たちの身近に存在するものも多く、例えばガソリンや灯油、エタノールなども消防法上の危険物です。

危険物の指定数量

危険物はその種類ごとに「指定数量」が定められており、これが取り扱いの基準となります。
指定数量1倍以上の危険物を取り扱う場合は、消防法による厳格な規制の対象となり、危険物取扱者の資格も必要です。

危険物の輸送要件と少量危険物輸送時の注意点

危険物を輸送する際は、以下のような要件を満たす必要があります。

【運搬容器の要件】

  • 堅固な構造で破損しにくいこと
  • 内容物が容易に漏れない構造であること
  • 内容物(危険物)と反応しない材質であること など

【必要な表示】

  • 危険物名
  • 危険等級(Ⅰ~Ⅲ)
  • 化学名
  • 水溶性か否か
  • 数量
  • 注意事項(火気厳禁など)

【混載規制】

類の異なる複数の危険物を一緒に輸送する場合は、混載可能な組み合わせが規制されています。
ただし、指定数量1/10以下の危険物については適用されません。

少量危険物輸送時に注意する点

少量危険物とは、指定数量未満~指定数量の1/5以上の量の危険物を指します。
少量危険物は、消防法ではなく市町村ごとの条例でその取扱いが規制され、管轄の消防署へ届出をした上で、危険物取扱者の資格がなくても取り扱えます。

なお、指定数量の1/5未満の量の危険物は、消防署への届け出も不要です。
消防法上の危険物にあたる灯油やエタノール(消毒液)などが家庭で保管できるのは、これが理由です。

通常、少量危険物の取り扱いは、消防法ではなく自治体の条例で規制されますが、輸送に関しては危険物の量に限らず消防法の規制対象です。
少量危険物として輸送する際は、危険物輸送に関する一部の規制の対象外だったり、表示の一部を省略したりすることができます。

ただし、指定数量の1倍未満であれば全ての危険物を少量危険物として輸送できるわけではなく、以下の要件を満たす必要があります。

  • 危険物リスト(別表第1)の「少量危険物の許容容量又は許容質量」欄に容量または質量が示されている危険物
  • 指定の容器に収納する(一部の危険物は除く)
  • 危険物リストの「少量危険物の許容容量又は許容質量」欄に定められた容量または質量以下
  • 「少量危険物用表示」の表示をする
  • 輸送物1個あたりの総質量が30kg以下

少量危険物の定義や取り扱い方法、注意点などはこちらのコラムでも詳しく解説しています。
ぜひあわせてご覧ください。
少量危険物とは?定義や保管方法、注意点を解説!

少量危険物の輸送を依頼する運送会社を選ぶポイント

荷物を運ぶ作業員

少量危険物を安全に輸送するためには、信頼できる運送会社を選ぶことがとても重要です。
より安全な輸送を実現するために、運送会社を選ぶポイントをチェックしましょう。

危険物取扱者の在籍

少量危険物の取り扱いには資格が必須ではありませんが、有資格者が在籍している運送会社を選ぶことで、より安全な輸送が期待できます。
物質の特性や取り扱い方法、緊急時の対応について専門的な知識を持つ、危険物取扱者が在籍している運送会社を選びましょう。

豊富な輸送実績

危険物の種類によって取り扱い方法や必要な管理・衝撃対策は異なります。
危険物の輸送実績が豊富で、ノウハウを持っている運送会社を選ぶのがおすすめ。
ぜひ、過去の実績や対応例などを確認した上で依頼するようにしましょう。

Gマーク取得

Gマーク(貨物自動車運送事業安全性評価事業)とは、安全性に優れた事業所を客観的に判断し、認定する制度です。
Gマークの認定を受けている事業者は、安全管理体制が充実しているといえます。
統計的にも事故発生率が低いといわれ、より安全な輸送が期待できます。

少量危険物の輸送は適切な知識と対策で安全に行おう

危険物とは火災の危険が大きな物質のことで、消防法では具体的な物質を6分類で指定し、取り扱いには厳格な制限を設けています。
取り扱いの基準となる指定数量未満~1/5以上の量の危険物は、少量危険物となり、取り扱いは自治体の条例に準じます。

少量危険物の輸送は、指定数量以上の危険物と比べて要件や表示などが省略される部分もあるものの、消防法の規制に基づいて適切に行う必要があります。

信頼できる輸送会社を選ぶことが、少量危険物の安全で迅速な輸送のポイントです。
危険物取扱者やGマークの有無、過去の輸送実績なども踏まえて、依頼する輸送会社を選びましょう。

キチナングループでは貨物輸送サービスを提供しています。
医薬品から産業廃棄物、化学製品まで、お客さまのニーズに合わせてさまざまな荷物を迅速・確実に輸送!
倉庫保管と合わせてワンストップサービスも提供可能ですので、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

三村 和弘

キチナンロジスティクス株式会社 営業部 課長

2021年中途入社。キチナンロジスティクス株式会社営業部。趣味はゴルフと磯釣りで、休日は妻とゴルフの練習に行ったり、職場仲間と打ちにいくこともしばしば。特技は早起きです。好きな言葉は「誠心誠意」。