こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。
近年の電気代高騰により、物流倉庫の運営コストが大幅に増加しており、多くの企業様が頭を悩ませています。
今回は、物流倉庫における電気代の現状と影響について解説します。
照明や空調設備の節電対策から、設備投資による長期的なコスト削減方法まで、実践的な電気代削減策をご紹介します。
物流倉庫の電気代でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
電気代の値上がり、物流倉庫への影響は?
電気代の高騰は、物流業界全体に深刻な影響をおよぼしています。
背景には、ウクライナ情勢による石炭や液化天然ガス(LNG)の価格上昇、円安の進行、原油価格の高止まりといった複数の要因があります。
物流倉庫は、一般的なオフィスビルに比べて圧倒的に電力消費量が多い施設です。
その主な理由として、まず倉庫内の安全性確保や商品の日焼け防止を目的として窓が少なく設計されているため、照明に要する電力が大きくなります。
また、保管効率や荷役効率を考慮した高天井設計により、空調・換気システムが広大な空間をカバーする必要があり、相当な電力を消費しています。
さらに、自動化設備やIT機器の導入が進んだことで、倉庫全体の電力使用量は年々増加傾向に。
電気代の高騰は、物流企業の経営を直撃しています。
東京商工リサーチが提供する「2024年(令和6年)の産業別倒産状況」によると、2024年は製造業の倒産が前年比16.7%増、運輸業の倒産が前年比9.85%増加。
人手不足や原材料・資材、エネルギーなどのコストアップが大きな課題となっています。
倉庫業でも同様の懸念が高まっており、電気代の削減は企業存続に直結する課題といえるでしょう。
物流倉庫の節電対策でできることは?

物流倉庫における節電対策は、大きく分けて「照明設備」「空調設備」「その他の設備・運用面」の3つに分類できます。
それぞれの分野で実践できる具体策をご紹介します。
照明設備の節電対策
照明は物流倉庫の電力消費の大きな割合を占めるため、大きく節電効果が期待できる分野です。
LED照明への交換
水銀灯や蛍光灯からLED照明への交換は、最も効果的な節電対策の一つです。
LED照明は、水銀灯に比べて消費電力は約1/5、蛍光灯でも約1/3にまで削減可能とされています。
長寿命で交換頻度も少なく済み、メンテナンスコストの抑制にもつながります。
適正な照度管理
労働安全衛生規則に基づいた適正な照度管理を行うことで、無駄な電力消費を防げます。
作業内容に応じて「綿密な作業」「普通の作業」「粗な作業」に分類し、それぞれに必要な照度を設定します。
照度計を使用して各エリアの明るさを測定し、基準値と比較して調整を行いましょう。
照明制御システムの導入
人感センサーや明るさセンサーを活用した照明制御により、必要なときだけ点灯する運用が可能です。
トイレや休憩室など一時利用の多いエリアでは特に効果的。
スイッチの点灯範囲を細分化することで、点灯の無駄も削減できます。
空調設備の節電対策
空調設備は物流倉庫の電力消費において照明と並ぶ大きな割合を占めるため、適切な管理が重要です。
適正な温度管理
空調の消費電力は設定温度に大きく影響されるため、適正な温度管理が節電の鍵となります。
空調設備の設定温度と実際の倉庫内温度は必ずしも一致するとは限りません。
温度計を使用して実際の温度を把握し、快適に作業を行える倉庫内温度になるよう設定を行うのが基本です。
室外機の設置環境改善
室外機の吹き出し口付近に障害物があると排熱がこもり、冷却効率が落ちてしまいます。
室外機の設置場所や周辺環境を見直し、通風を確保することで、空調効率を向上させられます。
定期的なメンテナンス
空調設備のフィルターや熱交換器の定期清掃により、空調効率を維持できます。
月1回程度の定期清掃を実施し、効率的な空調運転を維持しましょう。
デマンド装置の活用
電力使用量のピークを警告する「デマンド装置」を導入することで、契約電力の見直しや過剰使用の抑制に役立ちます。
「見える化」による意識改善も期待でき、非常に効果的と考えられます。
そのほかの対策
そのほか、空調効率を向上させる以下のような工夫があります。
- 空調中はドアや窓を確実に閉める
- 間仕切りやカーテンなどで空間を仕切る
- 適度に風通しが確保できる配置にする など
その他の設備・運用面の節電対策
照明や空調以外にも、さまざまな節電対策を実施できます。
太陽光発電システムの導入
物流倉庫の広い屋根スペースを活用し、発電した電力を自家消費すれば買電量の削減につながります。
余剰電力は電力会社に売電することも可能です。
建物の断熱性能向上
屋根や外壁への遮熱・断熱塗装を施すことで、外気の影響を受けにくく、室内の整えた温度と外に逃がしにくくなります。
倉庫内の温度を保ちやすくなることで空調効率の向上と電力消費の削減につながります。
電力契約の見直し
同じ電力使用量でも、電力会社や料金プランの見直しにより電気代を削減できる場合があります。
市場連動型プランや高圧電力契約への変更、新電力会社へ切り替えなども含め、自社の電力使用パターンにマッチする契約を選択しましょう。
そのほかの対策
そのほか、以下のような小さな取り組みも他の対策を組み合わせることで大きな節電効果を生み出します。
- 自動販売機の照明の日中消灯
- 加熱・冷却の稼働時間の見直し
- 休憩時間の一斉消灯
- ノートパソコンのバッテリー活用 など
電気代を含め、総合的な物流コストの削減やコスト管理については以下のコラムもぜひご覧ください。
物流倉庫の電気代削減で持続可能な経営を実現しよう
物流倉庫における電気代高騰は、企業経営に深刻な影響を与える重要な課題です。
照明のLED化や適正な照度管理、空調設備の効率的な運用、太陽光発電システムの導入など、さまざまな節電対策を組み合わせることで、大幅な電気代削減が実現できます。
節電対策は短期的なコスト削減だけでなく、環境負荷軽減による企業イメージ向上や持続可能な経営基盤の構築にも貢献します。
物流倉庫の電気代でお悩みの企業様は、まずは実施しやすい対策から始め、段階的に取り組みを拡大していくのがおすすめです。
電気代を含め、自社の物流コストの負担が大きくなってきたら、倉庫業務を丸ごと委託することでコストを削減できることもあります。
キチナングループでは、倉庫保管サービスを提供しております。
荷物を預かるだけではなく、入庫から輸送まで一貫した保管サービスが可能!
西日本を中心に、流通加工や検査、検品、梱包なども可能な拠点を保有しており、お客様の物流をトータルでサポートいたします。
倉庫保管でお悩みの方は、ぜひご検討・ご相談ください。
この記事を書いた人
末次 正人
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長
1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。









