こんにちは。HR推進室の藤野です。

山口県を拠点に、物流・倉庫・製造請負など、多岐にわたる「現場」を持つキチナングループ。 私たちは、長年培ってきた「現場のアナログな力(勘・経験)」と、「デジタルの客観的な力(データ・AI)」という、一見相反する専門性を掛け合わせることで、単独では成し得ない生産性の向上を目指しています。

その取り組みの一環として、2026年1月27日(水)に通算4回目となる全社横断イベント「データドリブン大会」を開催いたしました。

本大会の根底にあるのは、「AIは人の代替ではなく、能力の拡張である」という考え方です。 会場には、倉庫の最前線で働く社員から営業職まで多様なメンバーが集結。「データ」を共通言語として連携し、現場の行動を変革していく──。それはまさに、専門部署以外もデータを活用する「データの民主化」が、実務レベルで定着しつつある姿でした。

本記事では、この大会を通じて見えてきた、私たちの「現場DX」の現在地と、そこから生まれた具体的な改善事例をご紹介します。

目的は「過去の反省」ではなく「未来の発見」

予選を勝ち抜いた計11チームが、Looker StudioやSalesforceなどを駆使し、自らの成果をプレゼンテーションしました。

一般的に「データ分析」というと、数字による管理や評価をイメージされるかもしれません。しかし、開会宣言で代表の井本が伝えた言葉は少し違いました。

「『なぜできなかったか』を責めるためのデータ活用ではありません。『どうすればできるか』『どこにチャンスがあるか』を見つけるための分析を期待しています」

私たちは、「過去の反省」ではなく「未来の発見」のためにデータを使いたいと考えています。 AIの予測や客観的な事実を借りて、次の成功確率を高めること。このスタンスを共有することで、失敗を恐れずに挑戦できる心理的安全性を担保しています。

評価基準は「アクションに繋がるか」

審査基準は極めてシンプルかつ実務的です。 資料の美しさや、複雑な技術への理解度は問いません。重視されるのは以下の3点です。

  1. 具体的な効果(売上最大・経費最小・時間最短)につながっているか
  2. 他部署への水平展開が可能か
  3. より良い経営判断や行動に結びついているか

今回の大会では、この基準をクリアした上で、さらに「現場のアクション(行動)」を変え、お客様や自社に具体的なメリットをもたらしたチームが高く評価されました。

「現場の行動」を変えた、3組の受賞事例

🏆 最優秀賞:清進産業株式会社 倉庫課 
  〜「時空」を読み、アナログな工夫で130万円を削減〜

最優秀賞に輝いたのは、倉庫課の佐藤率いるチームです。 テーマは『時空を読んでみんなに優しく 〜倉庫課メンバーのあくなき挑戦〜』。ユニークなタイトルですが、その中身は極めて合理的でした。

💻 デジタルで「見えなかった無駄」を発見
これまで紙や複数のファイルで管理されていた倉庫の温度・電気代データを、BIツール(Looker Studio)に集約。気温と電気代の相関関係を可視化し、「なぜ空調稼働量が多いのか?」を徹底分析しました。

📦 アナログな「段ボール」で解決
データから空気の流れ(時空)を読み解いた彼らが導き出した解決策は、高価な機材導入ではなく、「エレベーター付近への段ボールシート設置による冷気遮断」でした。

💰 お客様にも環境にも優しい成果
結果は劇的でした。5ヶ月間で電気代を約136万円削減し、CO2排出量も46.2%削減。「経費最小」を実現すると同時に、「お客様の負担削減」と「環境負荷低減」を同時に達成しました。

代表の井本も、「データ分析を内向きな作業で終わらせず、外向きの価値(お客様への貢献)に変えていく、現場DXの理想形」と高く評価しています。

💭倉庫課 佐藤さんコメント

「今回の取り組みで最も重視したのは、ツールそのものではなく現場の『意識変革』です。 『自分たちの行動が経費削減やお客様満足に直結しているんだ』と一人ひとりが認識することで、チーム全体の士気を高めることができました。

また、社長から『アナログなデータ集計の手間は、生成AIを活用すればもっと効率化できる』というアドバイスをいただき、早速取り組んでみたいと思いました。 私はLooker Studio初心者ですが、現場の役に立つなら手段は問いません。今後は【売上最大・経費最小】はもちろん、【お客様満足】や【安全意識の向上】にもつながる『見える化』をどんどん進めていきます

🎖️ 優秀賞:DX推進室 
〜「現場理解の浅さ」をAIで埋める〜

優秀賞は、全社のDXを牽引するDX推進室の大和が受賞しました。 自身の課題であった「現場業務への理解不足」を補うため、生成AIを活用して現場データを分析。業界や職種の特性を踏まえた分析軸を導き出すことで、より精度の高い改善提案を実現しました。 「今後は自分たちが表彰されるのではなく、各部署の支援に徹したい」という言葉通り、全社のレベルアップを支える基盤づくりが進んでいます。

💭DX推進室 大和さんコメント

「『現場理解の浅さ』という弱点を、生成AIの分析力を借りることで克服できました。しかし、社長の言葉で『AIだけに頼らず、現場との対話が必要だ』と改めて痛感しました。 清進産業やロジスティクスに続くよう他事業部の底上げを行い、来年は『自分たちが勝つ』のではなく、『他部署を勝たせる』ための支援に全力を注ぎます

🎖️ 敢闘賞:清進産業株式会社 調達営業1課 
〜使う人のために、何度も足を運ぶ〜

営業部門からは、徹底した「ユーザー目線」を貫いた中谷・青木チームが受賞しました。 「毎日の業務で使うデータだからこそ、使いやすさと時間効率を最優先する」。その方針のもと、現場へのヒアリングを重ね、外出先からでも確認しやすい環境を構築しました。 データを作って終わりではなく、それを武器に現場・お客様のもとへ飛び込んでいく姿勢が高く評価されました。

💭調達営業1課 中谷さんコメント

「一番意識したのは、毎日使うツールとしての『時間効率』と『使いやすさ』です。そのために現場へのヒアリングを何度も重ねました。

ただ、今回の大会を通じて『外出の多い営業担当者には、スマホで見やすいレスポンシブデザインが不可欠だ』と改めて痛感しました。 今後はPCだけでなく携帯でも気軽に見られるよう改善しつつ、AIを活用した発注業務の効率化や、データに基づいた現場訪問などを通じて、在庫適正化のアクションを加速させていきたいです」


なぜ、私たちはMQ(粗利)を追うのか

大会の総括として、代表の井本より改めてキチナングループの方針が語られました。

「まず皆さんに理解してほしいのは、データドリブンとAI活用は密接に関わっているということです。今回の発表で良いと思ったものは、遠慮なく真似をして、発表者にどんどん質問に行ってください

データ活用はどうしても内向きな作業になりがちですが、目的を見失ってはいけません。私たちが目指すのはMQ(粗利)の最大化です。それがお客様にとっても我々にとってもプラスになり、売上の拡大につながる。そうした『実利のある打ち手』こそを評価します

今回は表彰されなかったチームや、惜しくも予選で敗退した改善の中にも、素晴らしい気付きがたくさんありました。成功も失敗もしっかりと振り返り、良いものは組織全体で取り入れていく。そんな『学び合う組織』であり続けましょう

データ分析はあくまで手段であり、目的は「働きやすい環境づくり」と「顧客への貢献」にあります。 このシンプルな原則に立ち返り、第4回大会は幕を閉じました。

キチナングループでは、今回のような成功事例はもちろん、うまくいかなかった事例も含めてナレッジを共有し、良い改善はすぐに他部署でも真似る(水平展開する)文化が根付いています。 今後も、アナログとデジタルの両輪で、お客様への提供価値向上に努めてまいります。