こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。
トラックドライバーの長時間労働は物流業界の大きな課題であり、待機時間の削減の必要性に注目が集まっています。
そこで今回のコラムでは、物流業界の「待機時間」の問題点や課題、対策方法などを解説します。
物流業界の2024年問題への対策としても、重要なトピックですのでぜひご覧ください。
物流業界で発生する待機時間とは
物流業界の「待機時間」とは、荷主や物流施設の都合によってトラックドライバーが待機している時間のことです。
トラックへの荷物の積み下ろし作業待ちの時間、指定時間にあわせるための時間調整の待ち時間、指示待ちの時間などが該当します。
「荷待ち時間」ということもあります。
荷物の積み下ろし作業が発生するのは仕方のないことです。
しかし、この待機時間が長くなってしまうことで、トラックドライバーの拘束時間が増え、長時間労働の原因の一つになっているのです。
待機時間の記録義務
運送会社はトラックドライバーごとの乗務記録の記載と保管が義務付けられています。
さらに、車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックで、荷主都合で30分以上の荷待ちが発生した場合には、待機時間についても記載することになっています。
物流業界の待機時間の課題
物流業界の待機時間にはさまざまな問題があります。
トラックドライバーの労働環境を悪化させる
「待機時間」といっても、ドライバーの時間と場所を拘束しているので、これは明らかな労働時間です。
そのため、予定されている走行時間に加え、待機時間が長くなるほど労働時間が長くなってしまいます。
さらに、悪質な企業ではこの待機時間を「休憩」として処理する企業もあり、その場合は長時間労働やサービス残業につながってしまう恐れも。
長時間労働やサービス残業といった労働環境の悪さは、トラックドライバーの人材不足にさらに拍車をかけています。
一般的には、待機時間に対しては待機時間料が支払われます。
トラックの運賃形態や計算方法などをこちらのコラムでも解説していますので、あわせてご覧ください。
トラックの運賃はどう決められる?計算方法や注意点をチェック!
トラックドライバーの工夫や対策ではコントロールが難しい
待機時間は物流の工程でどうしても発生してしまうものですが、ドライバー側の対策ではコントロールしきれないというのも課題の一つ。
例えば、一度に積み下ろしする荷物が多いほど待機時間は長くなりがちですが、荷物の量はドライバーがコントロールできるわけではありません。
また、安くたくさんの荷物を運んでほしい荷主と、同じくたくさんの荷物を運びたい運送会社のパワーバランスがあるため、荷主へ声を上げづらい部分も。
なお、近年は荷主との直接契約ではなく、元請運送会社を挟んだりドライバーが業務委託で仕事を受けていたりするケースもあり、さらに声が届きにくくなっているようです。
働き方改革関連法により、2024年4月1日からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が施行されました。
トラックドライバー1人あたりの労働時間が今より短くなるため、輸送能力の不足が懸念されています。
この2024年問題やトラックドライバー不足の解決方法の一つとしても、待機時間の削減に取り組んでいく必要があります。
物流業界の待機時間を削減するための対策方法

物流業界のトラックドライバーの待機時間を削減するため、運行記録の記載や管理のほかにも各企業や業界で連携をとりながらさまざまな対策に取り組んでいます。
例えば、こんな取り組みがあります。
- GPSやデジタルタコグラフ(運行記録計)、配送管理システム、予約システムなどを導入し、配車や配送ルートを最適化する
- ハンディターミナルや搬送ロボットを導入し入出荷時の検品作業やピッキングを効率化する
- 荷役作業や資材を標準化、最適化し、荷役時間を短縮する
待機時間削減のための工夫や努力、業務効率化は、荷主と運送事業者が連携して取り組んで行く必要があるでしょう。
ちなみにキチナンロジスティクスでは、30分単位で待機時間の「ある」「なし」を乗務員からヒアリングを実施。
1時間を超えるお客様については、その事実を報告し、待機時間を削減していただくよう協力を求めていく活動をしております。
物流の待機時間を削減して労働環境の改善を!
物流業界における待機時間とは、荷主や物流施設の都合でトラックドライバーが待機する時間のことです。
長時間の待機時間はトラックドライバーの長時間労働の一因になり、物流業界の労働環境悪化やそれによる人材不足を引き起こしています。
トラックドライバーの労働環境改善、そして2024年4月からのトラックドライバーの時間外労働上限規制への対策としても、物流の待機時間の削減は重要な役割を果たすと考えられています。
物流の待機時間の削減に向けて、GPSやデジタルタコグラフの導入による配車最適化、ハンディターミナルや搬送ロボットによる入出荷作業の効率化、荷役作業や資材の標準化などが挙げられますよ。
待機時間削減への取り組みは、荷主と運送事業者が連携して進めなくてはいけない、物流業界の大きな課題の一つです。
キチナングループでは、物流アウトソーシングサービスを提供しています。
物流のプロがお客さまの状況をヒアリングしてニーズに対応する最適な物流アウトソーシングのご提案をいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

末次 正人
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長
1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。