こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの採用担当荒木です。
近年、サプライチェーンマネジメント(SCM)という言葉を聞く機会も増えてきました。
サプライチェーンマネジメントは、ビジネスの世界では当たり前となってきた経営手法です。
今回はサプライチェーンマネジメントについて知りたいという方に向けて、できるだけ簡単に分かりやすく解説します。
目的や仕組み、メリット・デメリットもあわせて解説しますので、ビジネスの基本的な知識の一つとして、ぜひ参考にしてくださいね。
サプライチェーンマネジメントとは?注目を集める理由も
スマホやタブレットなどの端末を利用して、オンラインでの注文を通じて「欲しいときに欲しい物を簡単に手に入れる」ことは、日常的なこととなっています。
この日常的な流れを実現するのが「サプライチェーンマネジメント」の役割です。
ここでは、サプライチェーンマネジメントとは何かということに加えて、今、サプライチェーンマネジメントが注目を集める理由を解説します。
サプライチェーンマネジメントとは「全体最適を考えた経営手法」
サプライチェーンマネジメントは「全体最適を考えた経営手法」といわれています。
そもそもサプライチェーンとは、原材料や部品の調達から始まり、消費者に物が届くまでの、一連の流れのことを指します。
一連の流れの中には、物と金、そして情報が含まれます。
サプライチェーンに関わる事業体の全てで流れや情報を共有して、全体最適を考えていくのが「サプライチェーンマネジメント」です。
サプライチェーンマネジメントが注目を集める理由
近年、サプライチェーンマネジメントが注目を集めている理由には、次のようなさまざまな変化が挙げられます。
- ビジネスのグローバル化
- 消費者ニーズの多様化
- ビジネスモデルの変化
- 労働環境の変換
それぞれを詳しく見ていきましょう。
ビジネスのグローバル化
国内企業の活動は日本だけでなく、今や全世界で行われています。
原料調達や製造は海外での拠点を中心に行う企業も多くなっていますし、販売に関しても、世界中の国に向けて提供することが可能です。
そのため、企業は世界の国々を相手に事業を展開する必要があります。
例えば、必要な原料を一つの国だけからの供給に頼っていた場合、国を取り巻く環境の変化によって調達が困難になることもあるでしょう。
安定的に調達から販売までを行うためには、一連の流れの中で複数の選択肢を用意し、状況に応じて再構成する機能が必要となるのです。
消費者のニーズの多様化
現在、インターネットによって個人がさまざまな情報を、日常的に手に入れています。
何かを購入するときには、消費者が個別に手に入れた情報を元に、自分にあった物を選ぶようになりました。
ニーズの多様化により、少量多品種の製品が選ばれるようになったことで、ニーズに対応した生産・在庫を可能とするサプライチェーンマネジメントに注目が集まっています。
ビジネスモデルの変化
以前は、生産・物流・配送・販売がそれぞれ別の企業の事業として成り立っていましたが、インターネット販売(EC)の普及によって、販売と配送は切っても切れない事業になっています。
例えば、メーカーによる直販や飲食店によるフードデリバリーなどを利用する方も多いのではないでしょうか。
小売事業者がオリジナルのブランドで商品を販売することも珍しくありません。
ビジネスモデルが変化していく中で、統合的な管理体制を構築することが求められているのです。
労働環境の変化
近年、少子高齢化による労働力の不足が問題になっています。
若者の労働力不足に加え、現役労働者の高齢化も深刻化している状況です。
物流業界でもトラックドライバーは慢性的な人材不足が課題です。
労働環境が変化する中で、仕入れや配達の量やタイミングを最適化して、無駄な物流を削減することが急務となっています。
物流業界への就職を検討している方は、「物流業界に就職するのに有利な資格は?新卒でも取得しておくべき理由」のコラムもあわせて参考にしてくださいね。
サプライチェーンマネジメントのメリット・デメリット
ここからは、サプライチェーンマネジメントを取り入れることのメリットとデメリットについて解説します。
メリット・デメリットは、それぞれ次のようなことがあげられます。
<メリット>
- リードタイムの削減
- コスト削減
- 在庫の最適化
- サプライチェーンマネジメント全体のリソースの最適化
<デメリット>
- 導入コストの問題
- 機会損失の問題
- 環境変化によるリスク
それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。
メリット①リードタイムの削減
サプライチェーンマネジメントでは、需要予測をすることが重視されます。
予測した需要に応じて、調達から販売までの一連の計画に生かせるからです。
いつ、どのくらいの需要があるかを予測できれば、それに応じた在庫管理が可能となり、在庫を用意するための、調達から製造までの期間を逆算できます。
全ての工程で無駄な時間を省けるため、結果的に全体のリードタイム削減につながるのです。
メリット②コスト削減
需要予測を立てることで、いつ、どのくらいの物が販売できるか分かれば、必要な数量分の調達が可能となります。
また、在庫管理においても、必要な在庫の保管場所を確保できれば良いので、仕入れに必要なコストや、在庫管理に伴うコストの削減が可能です。
メリット③在庫の最適化
サプライチェーンマネジメントにおいて、リアルタイムの需要予測を各プロセスで共有することで、在庫量の最適化を図ることが可能です。
市場や消費者の動向を把握し、需要に見合った在庫を持つことで、売れ残りによる過剰在庫や在庫切れによる機会損失を避けることができます。
メリット④サプライチェーンマネジメント全体のリソースの最適化
サプライチェーンマネジメントによって、物と金と情報の流れが可視化された結果、必要な場所に必要なリソースを振り分けることができるようになります。
例えば、需要に応じて労働者の人的リソースを柔軟に変更することもできるでしょう。
また、仕入れと在庫保管のコストを検討しながら、需要期に一気に仕入れた方が良いのか、段階的に在庫を増やしていくほうが良いのか、全体を見ながらの計画も可能となるのです。
デメリット①導入コストの問題
サプライチェーンマネジメントを行うためには、主にメインとなるシステムを導入することから始まります。
導入には、システムそのもののコストに加え、運用・保守などに関するコストもかかり、費用は高額になります。
加えて、自社だけでなく関連する業者も含めて対応が必要となるため、複雑で規模も大きなシステムとなることでしょう。
デメリット②機会損失の問題
必要なときに必要な量を在庫として保管することは、メリットが多い反面、需要予測が外れ、急激に需要が増加したときに機会損失を起こすことにつながります。
一部の業務効率化に集中してしまい、市場の変化を見逃してしまうことが原因です。
調達から販売までの一連の計画がある中で、急激な変更への対応が困難なことはデメリットとなるでしょう。
デメリット③環境の変化によるリスク
サプライチェーンに関わる事業体が多いほど、環境の変化への対応が難しくなります。
特に世界を相手に取引をする場合、国の事情や災害、材料費の高騰などで流れの一部が停止した場合、サプライチェーン全体が機能しなくなる恐れもあります。
地球環境が変化する中で、それぞれの国が打ち出す環境への取り組みもサプライチェーンマネジメントに影響を与えるリスクの一つです。
サプライチェーンマネジメントの導入の流れ
ここからは、サプライチェーンマネジメントを導入するときの流れについて解説します。
導入は、一般的に以下の流れで行います。
- 目的と課題を洗い出し
- 担当者・部署の選定
- サービスの選定と導入
- 効果の測定と分析
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①目的と課題を洗い出し
まずは、導入する目的や解決したい課題を洗い出します。
解決したい課題がサプライチェーンマネジメントによって、解決できるのかどうかもあわせて考える必要があります。
②担当者・部署の選定
次にサプライチェーンマネジメントを導入するにあたって、中心となる担当者や担当部署を選定します。
導入にあたっては、システム会社との折衝を始め、関係部署、取引先への対応など、多くのやるべきことがあります。
導入する目的や解決したい課題をメンバーで共有し、役割を明確にして進めましょう。
③サービスの選定と導入
担当者・部署が決まったら、必要なサービスを選定します。
サプライチェーンマネジメントを運用するシステムには、主に需要予測や販売計画、在庫計画などを行うシステムを始め、業務データのやり取りを自動化するシステムもあります。
その他、サプライチェーンの流れを一元管理し、分析やシュミレーションを主に行うサービスもあります。
そのため、サービスの選定・導入には目的と課題にあっているかどうかを、慎重に検討することが必要です。
④効果の測定・分析
サービスを導入したら終わりではなく、目的や課題に対する効果を測定し、分析します。
分析結果は次の計画に盛り込んで、効果を高めていくことが重要です。
サプライチェーンマネジメントは全体最適を目指す経営管理手法
サプライチェーンマネジメントは、調達から販売までの一連の流れを最適化するための経営管理手法です。
主に、需要予測を立てることで全体的な無駄を省き、リソースを柔軟に活用することを目指しています。
企業がグローバル化し、消費者のニーズやビジネスモデルが多様化する中で、注目されるようになってきました。
サプライチェーンマネジメントを導入することで、調達から販売までの全プロセスにおけるリードタイムやコストの削減、在庫やリソースの最適化がメリットです。
一方で、導入コストの問題や機会損失の恐れ、環境変化によるリスクなどデメリットもあげられます。
導入には目的と課題を明確にした上で、メリットとデメリットを考慮して慎重に検討する必要があります。
また、導入して終わりではなく、導入の効果を測定・分析して次の計画に生かしていくことが、サプライチェーンマネジメント成功のカギとなるでしょう。
この記事を書いた人
荒木 花恋
キチナングループ株式会社 経営企画部
2022年新卒入社。吉南株式会社経営企画部採用担当。 入社後、大型ウイング車の配車を担当。2023年1月より経営企画部に異動、入社して10ヶ月で採用担当として活動中。温泉巡りが好きで山口はもちろん、九州の温泉を巡って癒されています。好きな言葉は、”人事を尽くして天命を待つ”。