こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの三村です。
物流業では、商品を管理するための倉庫が必要不可欠です。
その倉庫を利用するには、賃貸と寄託(きたく)の2通りの方法があることをご存知でしょうか?
賃貸はイメージしやすいものの、寄託はあまり聞き慣れないという方も多いかもしれません。
そこで今回は、倉庫の寄託について、賃貸との違いやメリット・デメリットを解説します。
賃貸と寄託、どちらがおすすめかについてもケース別にご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
倉庫の寄託とは?賃貸との違いや各メリット・デメリットも解説
寄託とは、民法657条で「当事者の一方が相手方のために保管することを約し、それを受け取ることによって成立する契約」と決められています。
これを倉庫に当てはめて考えると、当事者とは「倉庫を保有し荷物を預かる側の人」で、相手方は「荷物を預ける側の人」です。
相手方は荷物の保管料を支払うことで、荷物の保管を任せることができます。
ちなみに、寄託契約で利用できる倉庫は、国土交通省の審査基準を満たした「営業倉庫」でなければなりません。
営業倉庫については、こちらのコラムでも触れておりますので、あわせてご参考ください。
一方で賃貸は、貸主と賃貸借契約を結んで、倉庫や建物を借りる方法。
倉庫として借りる場合、あくまでスペースを借りているに過ぎないので、荷物の保管・管理は自社で行う必要があります。
それでは、寄託と賃貸のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
寄託のメリット・デメリット
寄託のメリットは、倉庫のスペースを借りられるだけでなく、荷物の保管・管理も依頼できる点です。
そのため、寄託で倉庫を契約すれば、荷物の保管・管理にかかる手間をかけなくて済みます。
追加で料金を払えば、荷物のピッキングや発送を行ってくれる業者もある点が魅力です。
また、荷物の量に応じて倉庫を利用できることもメリット。
繁忙期に依頼量を増やすといったことも可能です。
寄託のデメリットは、先ほども述べたように国土交通省の審査基準を満たした営業倉庫でなければならない点です。
そのため、倉庫であればどこでも預けられるというわけではないので、寄託契約をしたい場合は、基準を満たした営業倉庫を探す必要があります。
倉庫業務を委託する物流倉庫の選び方については、こちらのコラムもご参考ください。
また、自社で倉庫を持つのと比較すると、倉庫業務を依頼するための手数料がかかる点はデメリットの1つ。
とはいえ、賃貸や自社倉庫での管理に比べて手間はかからないので、そこまで大きなデメリットではありません。
賃貸のメリット・デメリット
賃貸のメリットは、倉庫を自由に利用できる点です。
倉庫内を好みのレイアウトにできることはもちろん、出入りする時間帯や日にちに制限はありません。
これは寄託にはない、賃貸特有のメリットです。
デメリットとしては、賃貸は寄託と異なりスペースを借りるだけなので、荷物の保管・管理は自社で行うか、外部に委託する必要があります。
そのため倉庫の賃料を安く抑えられても、荷物の保管・管理の手間や費用がかかる可能性があります。
倉庫で寄託契約と賃貸契約どちらを選ぶべき?
倉庫を寄託契約にするか、賃貸契約にするのかは、悩ましいところです。
そこで、寄託と賃貸のどちらを選ぶのがおすすめか、ケース別に解説します。
寄託契約がおすすめな場合
そこまで多くの荷物を抱えていない場合は、寄託契約がおすすめです。
このような場合では、倉庫を1棟借りるよりも、荷物の量に応じて倉庫のスペースを利用する方が、コストパフォーマンスに優れています。
なお、多くの物流倉庫では「三期制」という料金体系が取り入れられています。
三期制とは、1カ月を「1日〜10日」「11日〜20日「21日〜末日」の3期にわけ、その期間中の在庫量や入荷量などににあわせて保管料を算出する方法です。
そのため、在庫の量に応じた支払いが可能で、ムダな費用が生じづらいというメリットがあります。
保管料については、こちらのコラムもぜひご覧ください。
賃貸契約がおすすめな場合
倉庫を自由に利用したいなら、賃貸契約がおすすめです。
賃貸契約では、倉庫自体を借りる契約なので、倉庫内に棚やかごを設置し、レイアウトを自由に組むことが可能です。
急な荷物の入荷や出荷があっても、臨機応変に倉庫を開けることもできるでしょう。
ただし、退去時には原状回復義務が生じます。
借りる前の状態に戻さなければならず、契約事項を遵守する必要がありますが、それを守っていれば倉庫を自由に使えます。
その他、倉庫の賃貸借契約期間が3年以上であることが多いため、3年以上の利用が見込まれる場合や、大量のスペースが必要なほどの荷物を抱えている場合には、賃貸契約も検討してみましょう。
倉庫で寄託契約をする際には「倉庫寄託約款」が必要
倉庫で寄託契約を結ぶ際は、倉庫寄託約款が必要です。
倉庫寄託約款とは、倉庫業を営む者(荷物を預かる側)と利用者(荷物を預ける側)の間で行われる契約内容を定めたものです。
具体的には、以下のような内容が定められています。
- 営業時間及び休業日
- 保管方法
- 保管期間
- 寄託価額
- 受寄物の損害賠償
- 火災保険の付保
- 再寄託物の責任
- 免責事項
- 倉庫証券(発券倉庫業者のみ) など
倉庫業を営む側は、倉庫寄託約款を利用者との間で定めたら、厚生労働省に届け出る必要があります。
寄託契約を結ぶ際は、事前に倉庫寄託約款を確認し、疑問点を残さないようにしましょう。
倉庫の寄託とは賃貸と異なる契約方法の一つ
今回は、倉庫の寄託の概要や賃貸との違い、それぞれのメリット・デメリットについて見てきました。
寄託契約では、倉庫のスペースを借りる賃貸契約とは異なり、荷物の保管・管理まで依頼できます。
その他にも、荷物の量に応じて倉庫を利用できることや、追加料金で荷物のピッキングや発送まで任せられる点が、賃貸にはないメリットです。
一方の賃貸は、倉庫内を自由にカスタマイズできるだけでなく、出入りする時間帯に制限もありません。
長期で契約することも可能です。
倉庫を契約する際は、寄託契約にするのか、賃貸契約にするのか悩ましいところですが、荷物の保管・管理まで任せたいのか、どれくらいの期間契約するのかなどを考え、自社の状況に合った契約方法を選択しましょう。
この記事を書いた人
三村 和弘
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 課長
2021年中途入社。キチナンロジスティクス株式会社営業部。趣味はゴルフと磯釣りで、休日は妻とゴルフの練習に行ったり、職場仲間と打ちにいくこともしばしば。特技は早起きです。好きな言葉は「誠心誠意」。
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