こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの津田です。

物流倉庫の移転は、単なる引越しではなく、保管・出入庫・在庫管理などの物流体制を丸ごと再設計する大規模なプロジェクトです。
物流サービスを滞らせることなく倉庫移転を進めるためにはどのようにしたら良いのかと、お悩みの方も多いでしょう。

移転が必要な状況にも関わらず、なかなか倉庫の移転を進めることができない状態が続くと、十分なサービスを提供できなくなってしまう可能性もあります。
今回は、物流倉庫の移転について、移転を考えるタイミングや、具体的なスケジュールと各工程の作業内容、注意すべきポイントまでをまとめてご紹介します。

物流を止めずにスムーズに移転を完了させるためのヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

物流倉庫の移転を考えるタイミングとは?

物流倉庫の移転を考えるタイミングは「物流サービスが円滑に進まなくなったとき」です。
具体的には、以下のような状況が移転を検討するサインになります。

スペース・キャパシティが不足してきた

商品の取り扱い量が増えて在庫の収納スペースが限界に近づいたり、作業スペースが十分に確保できなくなったりするケースです。

作業スペースが狭いと、スタッフのストレスが増えてミスにもつながりやすくなります。
また、保管できる量が限られると発注をこまめに行う必要が生まれ、製造から販売までの時間が長くかかるようになるため、販売機会の損失にもつながります。

倉庫の立地が配送ネットワークと合わなくなった

事業エリアの拡大や主要な配送先の変化により、現在の倉庫立地が非効率になるケースです。
「配送コストが上昇している」「納期遅延が増えた」と感じたら、倉庫の立地見直しを検討するタイミングかもしれません。

委託先の費用や品質に問題が生じた

長年取引してきた委託先の値上げ、または誤出荷・出荷遅延が続くといった品質低下も移転を検討するきっかけになります。
物流サービスの品質は企業の信頼に直結するため、こうした変化は早めに対処することが重要です。

事業規模が変化した

事業拡大・新商品カテゴリの追加により取扱量が大きく増えた場合はもちろん、逆に事業縮小で倉庫規模を適正化したい場合も、移転の契機になります。

このように「これまでのやり方ではうまくいかなくなった」と感じたときが、物流倉庫の移転を本格的に考えるタイミングです。

物流拠点を集約するのは、物流の効率化の方法の一つ!
こちらのコラムで詳しくご紹介してますのでぜひご覧ください。
物流拠点を集約するメリットは?リスクや集約のポイントも解説!

なお、「自社の場合は移転すべきなのか、それとも運用改善で対応できるのか判断が難しい」という場合は、物流の専門家へ相談するのも一つの方法です。
キチナングループでも物流体制の見直しや倉庫移転に関するご相談を承っています。

物流倉庫の移転を決めたらまず確認すること

移転に向けて動き出す前に、現在の倉庫の状況と契約内容を正確に把握しておくことが不可欠です。
この準備が不十分なまま進めると、想定外のコストや手続きの遅延が発生するリスクがあります。

現倉庫の契約内容を確認する

まず、現在の倉庫の契約書を確認し、以下の項目を整理します。

  • 解約予告期間(「〇カ月前までに通知が必要」などの条件)
  • 中途解約の可否と違約金の有無
  • 原状回復の範囲と費用負担
  • 棚・端末などの資産の所有権・買取要否

解約予告期間を見落として通知が遅れると、賃料の重複負担や違約金など余分な費用が発生します。
契約内容の確認は移転検討の最初のステップです。

移転目的と条件の優先順位を整理する

例えば「スペース拡大が目的」なのか、「コスト削減が目的」なのか。
移転の目的によって、移転先に求める条件は大きく変わります。

移転の目的を明確にした上で、以下の項目について優先順位をつけておきましょう。

  • 立地:配送先・仕入先へのアクセス、幹線道路への距離
  • 面積・保管能力:現在の荷量+繁忙期の最大荷量+将来の増加分
  • 設備・委託可能な業務の範囲:流通加工・梱包・出荷代行など
  • システム対応:WMSとの連携可否、EC基幹システムとの親和性
  • コスト:賃料・保管料・移転費用・原状回復費の総額

条件の優先順位が決まっていると、複数の候補を比較するときに判断がスムーズになります。
大規模な移転や新規の賃貸契約を伴う場合は、退去予定日の6カ月〜1年以上前から候補物件の調査を始めることをおすすめします。

物流倉庫の移転のスケジュールと発生する作業をチェック!

移転のスケジュール

物流倉庫の移転は、計画から移転完了までスムーズに進んでも約3カ月はかかると考えておきましょう。

スケジュールを組む際は、「稼働開始日」を起点に各作業を逆算するのが基本です。
また、各フェーズに予備日を設けておくことも重要。
想定外のトラブルが発生した際に予備日がないと、仕入先やエンドユーザーにまで影響が波及するリスクがあります。

物流倉庫を委託する場合を例に、時系列に沿って物流倉庫の移転スケジュールをご紹介します。

移転完了3カ月前

移転の準備として最初に行うのが、新旧両倉庫の契約手続きと現状の業務分析です。

新委託先との契約・旧委託先の解約手続き

移転先の倉庫と業務委託契約を行い、それと並行して現在の倉庫の解約も行います。
既存倉庫の契約書に記載されている解約予告の期日より前に正式に通知してください。

現状の業務分析と新倉庫への引き継ぎ準備

業務委託契約後は、現状の倉庫業務やその問題点などを細かく洗い出し、新委託先と共有します。

入荷・検品・保管・ピッキング・梱包・出荷の各工程を一つひとつ確認し、属人化している作業やローカルルールを「誰でも同じように作業できる」仕組みに組み立て直す準備を始めましょう。
可能であれば、新委託先に現在の出荷作業を実際に視察してもらうのが確実です。

また、新倉庫での保管エリア・入荷エリア・出荷エリア・ピッキング動線などのレイアウト設計も、この段階から委託先と協議しておくと後工程がスムーズです。

WMSなどシステム連携の要件確認

移転作業の中で特に時間がかかりやすいのが、在庫管理システム(WMS)をはじめとするシステム連携の準備です。
この作業で想定以上に時間がかかり、稼働開始日がずれ込むケースは珍しくありません。
できるだけ早く着手しましょう。

主に以下のようなシステムで、確認・連携対応が必要になるでしょう。

  • WMS:出荷指示データの送受信・在庫引き落とし処理・ロケーション管理
  • 受注管理システム:アウトプット・インプット可能なデータ項目と仕様
  • 商品マスタ:商品コードの統一・最少単位(SKU)の整備状況
  • 送り状発行システム:連携方法・タイミング

システム改修が発生するケースもあるため、仕様確認と改修・テストに十分な期間を確保しましょう。

倉庫管理システムについて詳しくはこちらのコラムをご参照ください。
WMS(倉庫管理システム)とは?導入の効果やメリットなど詳しく解説

移転完了2カ月前

移転する在庫量を把握し、移転にかかる時間や費用の見積もりを行います。
段ボール換算で何箱・トラック何台分になるかなどの情報をもとに、移転日程や梱包指示を含めた見積もりを新倉庫委託先へ依頼し、スケジュール調整をします。

移転日は、繁忙期・セール時期・月末月初は避け、仕入先が休みで入荷への影響が少ない祝日・連休に設定するケースが多いです。
現倉庫への入荷を絞り込んで保管在庫を減らしておくと、搬送コストを最小限に抑えることができます。

移転完了1カ月前

在庫管理システムの連携テスト、移転にかかる詳細なタイムスケジュールの確定、備品手配など、具体的な準備を進めます。

システム連携テストの実施

各システムの準備が整ったら、連携テストを実施します。
在庫の引き落とし処理・同梱指示のピッキングリスト反映・出荷完了データの返送など、全パターンを自分の目でも必ず確認しましょう。
テストで問題が見つかった場合の対応フローも、新委託先・システムベンダーと事前に取り決めておきます。

詳細スケジュール・車両・備品・マニュアルの準備

タイムスケジュールを詳細化し、最終出荷日・棚卸日・搬出日・搬入日・稼働開始日を確定させます。
パレット・台車・オリコンなどの什器備品は移転時に一時的に必要数が増えるため、レンタルの活用も検討しましょう。

また、新倉庫の稼働に向けて作業マニュアルを整備します。
初めて働くスタッフでも理解できるよう、入荷・保管・ピッキング・梱包・出荷の各工程を写真や図を交えてシンプルにまとめることがポイントです。

顧客・関係者への告知

出荷停止や納期遅延が予想される期間がある場合、早めに顧客へ告知することが重要です。
移転作業開始の2〜3週間前を目安にご案内しましょう。

また、社内の営業・受注管理・経理・システム部門、仕入先、現倉庫・新倉庫、システムベンダーなど、あらゆる関係者に事前共有しておくことも不可欠です。

「仕入先への入庫ルール変更で本社との調整が必要だった」「経理処理のため特殊な出荷報告データが必要と後から判明した」といったケースは珍しくありません。
移転を決断したタイミングで、業務・データの全体フローを改めて確認しておきましょう。

移転完了1週間前~移転完了

現倉庫での出荷終了後、棚卸・梱包を行い、新倉庫への移転を行います。

棚卸・梱包・搬出

現倉庫での最終出荷が終わったら、棚卸を実施しましょう。
理論在庫と実在庫の差異がないかを確認し、棚卸結果を反映した全商品の商品コード・数量の一覧データを新倉庫委託先へ送付します。

搬出前の棚卸を省略すると、在庫の過不足が「搬出時のミスか・搬入時のミスか」の判断ができないため、「出るときと入るときの在庫数は必ず一致させる」ことが移転作業の大原則です。

搬入・新倉庫での稼働確認

新倉庫への搬入時は担当者が現場に立ち会い、到着した商品の数量・破損の有無・商品マスタにない商品の混入がないかを目視で確認しましょう。
搬入後の棚卸で搬出時の在庫数と一致すれば、移転の全ての工程は完了です。

稼働初日も立ち会いの上、入荷・ピッキング・梱包・出荷の各作業が事前に決めた手順通りに行えているかを確認しましょう。

物流倉庫の移転で注意すべきポイントを解説

物流倉庫

物流倉庫の移転の際に注意すべきポイントを確認しましょう。

移転後を見据えて現状の課題を整理する

物流倉庫の移転は、今よりもより良い物流サービスを提供するために行います。

まずは現状把握でどこに困っているのか、どこは維持したいのかなどを明確にし、移転先でそれを生かせる、または解決できるのかを探る必要があります。
移転前に抱えていた課題はしっかりと新倉庫に共有し、少しでも効率的に作業全般も引き継げるよう準備しましょう。

移転先では、前の入居事業者の業種なども把握しておくと、倉庫のより良い活用方法を見出しやすくなります。

データ連携が確実に行えているかチェック

物流サービスにおいて、管理システムはなくてはならないものです。
現倉庫と新倉庫のシステム連携時に改修が発生するケースもあるため、できるだけ早く確認作業を済ませます。

システム連携が完了していない状態で商品を移しても出荷を開始できないため、テスト完了までを搬入の前提条件として計画に組み込むことが重要です。

全ての関係者と情報共有をする

物流倉庫の移転となると、物流に直接関わる取引先や部署にだけ移転の連絡をすれば良いと思うかもしれません。
しかし、それでは仕入れ先の混乱やデータ処理の方法の違いなど、他の部署にも支障が生じる可能性があります。

特に以下の関係者との連携漏れは、プロジェクト全体の遅延につながりやすいため要注意です。

  • 社内:営業・受注管理・経理・情報システム部門
  • 現倉庫委託先・新倉庫委託先
  • システムベンダー:WMS・EC基幹・送り状システム
  • 仕入先・製造先
  • エンドユーザー:出荷停止期間の事前告知

移転の際はあらゆる関係先・会社に周知しておくことが必要です。

移転に伴う業務の効率化を行う

例えば、移転前の倉庫で「作業員の記憶をもとにピッキングを行う」といった属人的な仕組みだったのなら、移転と同時に「誰でも同じように作業を完了させられる」仕組みに変える必要があります。

特に業務委託で物流サービスを管理している場合、倉庫が変わることで今までと同じやり方ではうまくいかないケースが考えられます。
物流コストが商品の価格に占める割合は少なくないため、移転を機に業務の効率化・コストカットを図っていくことも重要です。

倉庫業務の効率化については「倉庫作業を効率化しよう!改善アイデアや課題をチェック」もあわせてご覧ください。

物流倉庫の移転をお考えなら、キチナングループぜひご相談を!

移転を機に物流業務のアウトソーシングを検討することも、有力な選択肢の一つです。
キチナングループでは、商品の保管・出入庫・在庫管理等を一貫して承る倉庫保管サービスを提供しています!

入荷から保管・流通加工(ラベル貼り・セット組み・ギフトラッピング・アソート作業・値付けなど)・出荷まで、お客様の業務フローに合わせた柔軟な対応が可能です。
多品種の商品を扱う事業者様にも対応できる体制を整えており、物流のプロがお客様それぞれに適した荷役・在庫管理をご提案します。

業種・規模を問わず、以下のようなご相談をいただいています。

  • 在庫の増加で現倉庫のスペースが限界になり、移転先を探している
  • 自社倉庫の運用コスト削減のため、アウトソーシングに切り替えたい
  • EC事業を開始・拡大するにあたり、物流体制を整えたい
  • 現委託先のサービス品質に課題があり、新たな委託先を探している
  • 複数の拠点に分散している在庫を一拠点に集約したい
  • 移転を機に業務フローを見直し、作業効率を改善したい

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ご相談・お見積もりは無料です!
物流倉庫の移転や効率化でお悩みの方は、ぜひキチナングループにお気軽にご相談ください。
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物流倉庫の移転はスケジュールとリスク管理が成功のカギ

倉庫の移転にかかる日数は、計画から移転完了まで早くても約3カ月。
大まかな概算スケジュールから、細かくタイムテーブルをつくっていき、現倉庫と新倉庫・新委託先の連携もしっかり取っていく必要があります。

移転時の注意点は、移転後に効率良いサービスが行える状態にもっていけているかということ。
新倉庫でシステムの連携がきちんと行われているか、移転に伴う情報共有が関係各所で漏れなく行われているかなどを確実にチェックしましょう。

移転に伴い、これまでの体制を見直し、コストカット・業務の効率化を図っていくことも大切です。

倉庫の移転を考えるタイミングは、スペース不足・立地の不適合・委託先の品質低下・事業規模の変化など、現在の物流体制が円滑に機能しなくなったときです。
移転を決めたら、まず現倉庫の契約内容(解約予告期間・原状回復範囲)を確認し、移転目的と移転先に求める条件を整理することから始めましょう。

倉庫の移転にかかる期間は、計画から完了まで早くても約3カ月。
スケジュールは稼働開始日から逆算し、各フェーズに予備日を設けながら組み立てていきます。

移転を成功させるカギは、新倉庫でのシステム連携・レイアウト設計・作業マニュアルの整備を早めに進め、すべての関係者と情報を共有しておくことです。
移転を機にこれまでの業務体制を見直し、効率化・コストカットも図っていきましょう。

キチナングループでは、商品の保管、出入庫、在庫管理等を一貫して承る倉庫保管サービスを提供しています。
物流倉庫の移転や効率化でお悩みの方は、お気軽にご相談ください!

この記事を書いた人

津田 康平

キチナングループ株式会社 倉庫事業部 主任

2018年中途入社。キチナングループ株式会社 倉庫事業部営業部。前職でも営業をしていました。プライベートでは奥様と買い物に行ったり、趣味のゴルフやバス釣りを楽しんでいます。好きな言葉は「この道より 我を活かす道無し この道を歩く」。