こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの末次です。
半導体は、スマートフォンやパソコン、医療機器や自動車の制御システムなど、現代社会を支える多くの機器に使用される欠かせない部品です。
そんな半導体の輸送には、その繊細な特性から特別な配慮が必要です。
今回は、半導体の基本的な特徴から最適な輸送方法から、業者選定のポイントまで詳しく解説します。
半導体の輸送に関わる企業の方や、どのように半導体を安全に運ぶべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
半導体とは?まずは特徴をおさらい
半導体とは、ある一定のときに電気を通すという性質を持つ物質です。
導体(電気を通す物質)と絶縁体(電気を通さない物質)の中間的な性質を持ち、条件によって電気の流れをコントロールできる特徴があります。
半導体上に電子回路を集積させたものが集積回路(=IC)で、これは私たちの日常生活のさまざまな場面で活用されています。
半導体の使用製品例
- スマートフォン、パソコン、テレビなどの電子機器
- LED電球などの照明機器
- 医療機器(MRIや超音波診断装置など)
- 産業用ロボットや監視カメラなどの自動化機器
- 自動車の電子制御システム
- 銀行ATMや自動販売機などの業務用機器 など
このように半導体は現代社会のあらゆる場面で使用され、その需要はますます増加しています。
それに伴い、半導体の安全かつ効率的な物流の重要性も高まっているのです。
半導体は輸送方法に気を付ける必要がある
半導体は非常に精密で繊細な製品であるため、輸送時には細心の注意を払う必要があります。
なぜ特別な配慮が必要なのか、その理由を解説します。
振動や衝撃に非常に弱い
半導体は非常に繊細なため、輸送中の振動や衝撃によって破損や不具合が生じるリスクがあります。
輸送中の振動や衝撃により、内部に微細な損傷が生じ、以下のような不具合が発生する可能性があります。
- 物理的損傷:半導体の内部構造や接続部分の破損
- 性能劣化:わずかな損傷による半導体の性能低下
- 潜在的不具合:すぐには現れないが、使用中に発生する可能性のある問題
温度や湿度の変化に非常に敏感
半導体は温度や湿度の変化にも非常に敏感です。
急激な温度変化は静電気放電のリスクを引き起こし、製品の劣化や故障の原因となります。
また、50%以上の湿度になると半導体の腐食やサビが発生する可能性も。
適切な温度・湿度環境で管理しないと、機器の動作不良や損傷を引き起こす可能性があるのです。
これらの理由から、半導体の輸送には通常の貨物輸送と比較して多くの注意点があり、専門的な技術と知識が求められます。
半導体に適した輸送方法
半導体の繊細な特性を考慮すると、その輸送には特別な方法が必要です。
半導体に適した主な輸送方法について解説します。
船舶輸送(フェリー方式)
船舶輸送の中でも、フェリーによるRoll-on/Roll-off方式は半導体のような精密機器の輸送に適しています。
Roll-on/Roll-off方式とは、車両が自走して船に乗り降りする荷役方法です。
これにより、クレーン使用時に比べて荷役時の振動や衝撃を抑えられ、荷役時間も短縮されます。
一般的なコンテナ船ではLift-on/Lift-off方式(クレーンで貨物を持ち上げて積み下ろしする)での荷役となり、大きな衝撃が発生します。
また、航空輸送でも離発着時の衝撃があるため、フェリーはこれらと比較して衝撃が小さく、半導体輸送に適しています。
陸上輸送(エアサス車両)
陸上輸送では、エアサス車両(エアサスペンション付きシャーシ)を活用することで、振動や衝撃を緩和しながら輸送できます。
エアサス車両は、サスペンション構造に空気パネルを搭載し、振動・衝撃を吸収します。
特に、低床エアサス台車や空調付きエアサス低床幅広台車などは、トラックへの積み替え作業が不要で、積み替え作業なしで運搬できるため、作業時間を大幅に短縮できます。
航空輸送(航空便)
航空輸送は短時間での長距離輸送が可能で、迅速な納品が必要な場合に有効です。
特に納期が優先される場合や、高い付加価値のある半導体部品の輸送など、時間的制約が厳しい状況では航空輸送が選択されることがあります。
ただし、振動や衝撃はフェリーよりも大きいため、適切な梱包や取り扱いがより重要になります。
また、半導体は温度や湿度の変化に敏感であるため、温度・湿度を適切に管理できる特殊コンテナや空調付き車両の使用も必須です。
さらに、季節や天候に応じて搬入・搬出時間を調整するなど、きめ細かな対応も重要です。
半導体を輸送する際の業者の選び方

半導体は非常に繊細で高価な製品であるため、輸送に関する専門知識と経験を持ち、顧客のニーズに合わせた柔軟な対応ができる業者を選ぶ必要があります。
信頼できる輸送パートナーを選ぶために、以下のポイントを確認しましょう。
- 半導体輸送に適した専用車両を保有している
- 必要に応じて特殊車両の手配ができる
- 振動・衝撃を軽減する専用の固定具や緩衝材を備えている
- 半導体や精密機器の輸送実績が豊富である
- スタッフが専門的な訓練を受けており、精密機器の取り扱いに習熟している
- 過去のトラブル対応実績や解決策について明確に説明できる
- お客さまの希望に合わせた最善の運搬方法を提案できる
- 輸送前の現地調査や綿密な計画立案ができる
- 貨物保険の内容が充実している
経験豊富な業者は予期せぬ状況にも適切に対応でき、安心して輸送を任せることができます。
また、半導体の特性を理解した上でコスト効率と安全性のバランスを考慮した最適な輸送計画を提案してくれる業者を選びましょう。
精密機器輸送の業者選びについてもっと詳しく知りたい方は、こちらのコラムも参考にしてください。
精密機器の輸送で依頼先の決め方を解説!選ぶ際の注意点も詳しく
半導体の輸送方法は繊細な特性に合わせた選択が鍵
半導体の輸送方法で最も重要なのは、その繊細な特性への配慮です。
半導体は振動・衝撃に弱く、温度・湿度変化にも敏感であるため、そこに対応した特別な輸送が必要です。
フェリーによるRoll-on/Roll-off方式は衝撃が小さく適しており、陸上ではエアサス車両の活用で振動を緩和できます。
航空輸送は振動が大きいものの、納期を優先したい場合には有効です。
輸送を依頼する業者を選ぶ際には、専用車両の保有や精密機器輸送の実績、スタッフの専門知識などを確認しましょう。
半導体の安全な輸送には、その特性を理解した上での最適な方法選択と信頼できる業者との連携が不可欠です。
キチナングループでは、物流アウトソーシングサービスを提供し、お客様の商品特性や要望に合わせた最適な物流ソリューションを提案しております。
梱包資材のコストダウンに関するご相談も、お気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人

末次 正人
キチナンロジスティクス株式会社 営業部 部長
1996年新卒入社。キチナンロジスティクス株式会社 営業部。入社してからは茨城県や大阪府など様々な場所で配車や営業を経験。プライベートでは家族との時間を大切にしています。趣味はゴルフと食べ歩き。好きな言葉は「感謝」。