こんにちは!西日本を中心に総合物流サービスを展開するキチナングループの岡です。
発注があったのに欠品して販売できないなんてことがあると、利益や信頼が損なわれてしまいます。
欠品を防ぐためには、安全在庫を把握・保有しておく必要があります!
今回のコラムでは、安全在庫について解説。
安全在庫とはどんな在庫か、目的、メリット、計算方法、注意点などを順にご紹介します。
安全在庫とは?保有するメリット
安全在庫とは、欠品の発生を防ぐために最低限保管しておく在庫のことです。
欠品を防ぐためといって多めに在庫を保管していては、保管コストがかかってしまいます。
しかし、在庫が少なくて欠品してしまっては、チャンスロスで利益を失ってしまいます。
そのため、過去のデータに基づいてできるだけ欠品しない在庫数を保管しておくのです。
JIS規格では、安全在庫は「需要変動又は補充期間の不確実性を吸収するために必要とされる在庫」と定義されています。
安全在庫を保有するメリットは主に以下の2つです。
機会損失を防ぐ
安全在庫を保有しておくことで、発注があったのに欠品で販売できないという機会損失を防げます。
欠品による機会損失は、売上が上がらないのはもちろん、顧客からの信頼を低下させ、顧客を失ってしまうリスクも。
できるだけ欠品を防ぐことで、売上を確保し、顧客との信頼関係を継続することができます。
余剰在庫を防ぐ
欠品を防ぐことだけを考えるなら、たくさん在庫を保管しておけば欠品は防げるでしょう。
しかし、余剰在庫があると保管スペースを圧迫したり、作業効率が下がったりして、保管コストや管理コストがかかってしまいます。
欠品を防ぐための最低在庫数を把握することで、余剰在庫を防ぎ、無駄なコストを削減できます。
また、入荷した商品が長期間保管されることなく順番に売れていけば、原価を改修できるのでキャッシュフローが改善します。
安全在庫の計算方法
具体的にどのくらいの安全在庫を保有すべきかは、以下の計算式で求められます。
【安全在庫=安全係数(安全在庫係数)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)】
計算する上で必要な数値について、詳しく見ていきましょう。
安全係数(安全在庫係数)
安全係数とは、欠品許容率を表す数値です。
例えば100個の発注に対して、95個納品、5個の欠品まで許容できるなら欠品許容率は5%。
一般的には以下のような安全係数が使用されています。
欠品許容率(%) | 安全係数(安全在庫係数) |
0.1 | 3.10 |
1.0 | 2.33 |
2.0 | 2.06 |
5.0 | 1.65 |
10.0 | 1.29 |
欠品許容率5%の場合は、安全係数は1.65になります。
なお、安全係数はエクセルのNORMSINV関数を使って求めることもできます。
■安全係数(安全在庫係数)=NORMSINV(1-欠品許容率)
使用量の標準偏差
使用量の標準偏差後は、過去の出荷数の平均値のことです。
需要の変動を判断するために用いられます。
使用量の標準偏差は、エクセルのSTDEV関数で計算できます。
■1カ月の標準偏差=STDEV(1カ月あたりの出庫数)
発注リードタイム
在庫を発注してから入荷するまでの日数のことです。
4月1日に発注して4月6日に入荷する場合は、発注リードタイムは5日になります。
発注間隔
1度発注をしてから、次に同じ商品を発注するまでの期間のことです。
1週間に1度の発注なら、発注間隔は6日になります。
下記の条件で、安全在庫数を計算してみましょう!
- 安全係数:1.65(欠品許容率5%)
- 使用量の標準偏差:20
- 発注リードタイム:5日
- 発注間隔:6日間
安全在庫=1.65 × 20 × √(5+6)=約109
この場合では、安全在庫を109個保管していれば、欠品率を5%程度に抑えることができます。
安全在庫を保有する際の注意点
安全在庫は欠品を防ぐための在庫ですが、安全在庫があるからといって欠品を完全に防げるわけではありません。
予想外の激しい需要変動には対応できないこともあります。
安全在庫を求める際の欠品許容率として5%がよく使われることからもわかるように、多少の欠品は許容した上で業務が進められることがほとんどでしょう。
欠品率を下げるための取り組みや対策についてはこちらのコラムでも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、正確な安全在庫を求めるためには、計算に用いる使用量の平均値を正確な数値にすることも大切。
できるだけ長い期間のデータを元に、数値を算出するようにしましょう。
なお、機会損失の防止だけでなく、保管コストを抑えて利益を最大化するためには、安全在庫と同時に適正在庫を把握することも大切です。
適正在庫とは利益の最大化を目的とした適正な在庫のことで、在庫数の上限と下限を設定するものです。
適正在庫は、安全在庫に加えて、在庫の発注間隔でどのくらい在庫が消費されるかを加味して検討されます。
在庫数が多ければ、欠品リスクや発注頻度は下がりますが、余剰在庫が増えて保管コストが上がります。
プロの物流企業へ在庫管理を委託するのも一つの方法です!
キチナングル―プでは、入庫から配送、輸送まで一貫して対応する倉庫保管サービスを提供しています。
お客様のニーズに合わせてさまざまな種類の荷物の保管が可能で、在庫管理はもちろん、流通加工、検品などにも対応し、お客様の物流をトータルで支えています。
安全在庫とは欠品を防ぐための最低限の在庫数
安全在庫とは、欠品の防止を目的として保管すべき最低限の在庫のことです。
季節や流行などによる需要変動が起こっても、欠品が起こらないように備えます。
適切な安全在庫は、欠品による機会損失を防いで、売上や信頼の低下を防ぎます。
欠品に備えるあまり余剰在庫を出すことも抑えられるので、保管コストの削減やキャッシュフローの改善などにもつながります。
安全在庫は【安全在庫=安全係数(安全在庫係数)×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)】の計算式で算出できます。
ただし、安全在庫は欠品を必ず防ぐものではないことに注意を。
できるだけ欠品を防ぎつつも、一定の欠品が発生することは避けられないでしょう。
また、利益の最大化を目指すためには安全在庫だけでなく適正在庫を把握し、保つことも重要です。
この記事を書いた人
岡 拓人
キチナングループ株式会社 倉庫事業部
2021年新卒入社。キチナングループ株式会社 倉庫事業部。幼少期に始めた野球を今でも仲間と楽しくプレー中。終わった後は飲みに行くことが好き。笑顔には自信があります!好きな言葉は「ありがとう」。感謝を忘れず精進します。
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